卒業遍路2018を行いました。
3月15日木曜日に4回目となる卒業遍路を行いました。
4回目ということは、第1回目に参加してくれた中学3年生が、高校3年生になる年です。今までのアンケート結果を見るに、参加者の満足度がとても高い行事なので、リピーターが集まるはず!というところでしたが、蓋を開けてみると、2度目の参加者は1人だけでした。
参加者は結果として27名。その内中学生が24名という偏りの大きさでした。この原因は、小豆島中央高校に統合されて最初の年だったので、そこでの集客のむずかしさを感じました。
お遍路=宗教行事と見られる傾向があることから、学校行事としてやっていません。しかし、学校から申込用紙の配布と案内をしていただいています。その範囲において、先生方の理解や関心の度合いによって、参加を勧める、まで行かなくても、〆切日に「申込ないか?」と促したり、わかりやすい告知をしていただけるようになりました。新高校は教師は同じでも、その下積みがまた1からになってしまったのかもしれません。
さて、当日の天気は、小春日和の快晴で、抜群の遍路日和でした。
スタート地点が伊喜末の松林寺なので、集合場所としてのハードルが高いため、例年通り、内海地区は小豆島町立図書館前(安田馬場前)に、土庄地区は富丘八幡馬場前に、集合してもらい、そこからバス送迎しました。
遅刻者はなく予定通り9:00スタート。
最初に、遍路の心構えとか、装備のこと、お経のこと、代参企画のこと、必要事項を諸々説明して、開始しました。
68番松林寺、67番瑞雲堂、69番瑠璃堂・・・通学路でも、住民でなければ、歩いたこともないであろう四海地区の路地道を歩き、豊島を間近に感じる西海岸からの海を横目に、札所を巡りました。
瑠璃堂から、長浜の70番長勝寺、昼食を食べる滝宮自治会館は、小さな峠越えもあり、牛舎もある田園地帯をのんびり歩き、南の景色しかしらない子供たちは、小豆島にこんなところがあったんだーと驚きながら歩いたことだろうと思います。
滝宮自治会館は、旧札所である滝宮がある場所で、現在はその近くに本地仏を移して滝宮堂となっています。
今回巡った札所で言えば、瑞雲堂も、もともと伊喜末八幡の別当寺であった瑞雲寺の仏様を移設した堂庵であるので、明治維新時の廃仏毀釈によって、お宮からお寺へ札所が移り変わった場所でした。個人的な関心もあって、そうした札所の移り変わりがなぜ行われたのか、解説しました。中高生にとっては、教科書の中でほんのチョロッとしか登場しない、廃物稀釈や神仏習合といった言葉の意味が、少しでも垣間見えたら幸いと思います。でも、よっぽど歴史が好きな子しか、右から左の話だったようにも思います。
昼食の前に、スタッフメンバーでもある、宝生院住職の高橋寿明師(土庄中学、土庄高校出身)と、岩谷でカフェを経営する瀧下祐輔(内海中学、小豆島高校出身)さんに登壇いただいて、「先輩の体験談を聞く」時間を設けました。
私がプレゼンターになって、2人に話を振る鼎談形式を採用しました。話が盛り上がったかは、微妙なところでしたが、島出身の彼らが、どのような学生時代を過ごし、当時何を考え、島を出て、何を経験し、何を思って帰ってきたのか、そういう話をしました。模範解答でも、愛郷心の植え付けでも無く、ただ1例として、そうした行き方から、これからの自分の指針となる何かを育んでくれたら、と思います。
島外から島へIターン移住者としてやってきた経験から、「島に帰って来ても、帰ってこなくても、それぞれ楽しいこともあるし、そこでしかできないことがあるなら帰ってくる必要もないと思う。しかし、島で育った人のつながりの深さは正直羨ましい」という感想を添えました。私の場合、故郷に帰ることは無いと思うので、つながりを切ってきた寂しさはどうしても拭えません。
昼食は、恒例の小豆島産の豚(鈴木農園)を、小豆島食品さんで炊き込んで作った豚丼。1回目だけスパイスカレーでしたが、2回目以降、このパターンで毎度好評です。
昼食後は、この後参拝する笠ヶ瀧の護摩木に願いを書き、2班に分かれて、次の71番滝宮堂を目指す班と、残って写経体験をする班に分かれました。
どうして班分けをしたかというと、笠ヶ瀧の本堂で護摩祈祷をするのに、それほど人数が入れないからです。15人くらいが。27人にスタッフが10名ほど同行していたので、30分ずらして参拝しました。
写経体験は、代参企画(リンク)で、介護施設からお預かりした写経を奉納する習慣がお遍路にはあることと、我が身でその実践をして、みなさんがどういう気持ちと労力でそれを託してくれたのかを感じるため。
般若心経1巻が定番ですが、筆に慣れていない若者がやると2時間コースなので、最後の音写(ぎゃーてーぎゃーてー)の部分を切り取って、30分時間をとりました。
すごく熱心に書く子が多くて、失敗や書き直しは皆無でしたが、30分みっちりかかった子もいました。
滝宮堂から72番奥の院笠ヶ瀧へ至る、峠道は今回のハイライト。竹林を抜け、ごつごつした岩場を辿り、笠ヶ瀧の境内からは鎖場をよじ登り・・・高所恐怖症の子が何人かいて、トラウマになったかも知れませんが、なんとか全員、怪我無く無事に本堂で護摩祈祷できました。
笠ヶ瀧の護摩は、岩屋の本堂の中で行う小豆島霊場独特のものです。引率僧呂の朗々とした読経が響く荘厳な雰囲気の中、自分たちの願いを託した護摩木が炎に投じられる体験は、一生忘れることのできないものになったんじゃないかな、と思います。
笠ヶ瀧から、登ってきたよりも更に急な鎖場を下りて、72番瀧湖寺、73番救世堂を参拝。救世堂では、先に進んだ班が写経を行い、後続の班と合流しました。
最後の75番大聖寺には16:30頃に到着し、余裕を見た割に、終始遅れ気味で、最後はほぼ予定通り結願できました。
参加者の中には、今回初めて伴走車に乗った子もいましたが、全員が怪我なく、全ての札所を参拝して結願しました。
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