お知らせ
卒業遍路2021やりました。
コロナ禍の一年、たいへんな年度でした。その中でも卒業遍路を開催することができました。参加者は14名。まったく広報ができなかった現状+密にならないギリギリの人数と考えれば、ベストな形で開催できたように思います。
行程は、小豆島町立図書館前に集合。そこから(13)栄光寺〜(14)清瀧山〜(20)佛ヶ瀧〜(18)石門洞〜(17)一ノ谷庵〜(16)極楽寺〜(15)大師堂〜小豆島町立図書館というコース。
栄光寺から、小豆島霊場最高峰にある清瀧山へ登り、石門洞で護摩祈祷を体験し、そこから下山して、極楽寺で大般若の加持をしていただき、集合場所の図書館前に戻ってくる、小豆島遍路を満喫する15kmの行程でした。
卒業遍路を行った後、ご協力・ご協賛をいただいた関係各位に、A4で10頁ほどの報告書を配って、御礼行脚するのですが、今年はそんなに配る先がないので、そこにツラツラと書いた締めの言葉を掲載したいと思います。
後から読み返してもわかるように、今年卒業遍路を開催した背景を、昨年からの流れで書き残しておこうと思います。
2020年小豆島で初めて新型コロナウィルス感染者が出たとき、心ない誹謗中傷、根も葉もない噂が蔓延して、特定された感染者のみならず、その周辺の人たちまで疑いの目を向けられる田舎のよくない側面が存分に発揮されました。
年末に小豆島町でクラスターが発生したときも同様で、「けしからん」「出ていけ」とこらしめるのが正義と言わんばかりの自警団のような人たちが、叩いていい弱者を創り上げてストレスの捌け口にしました。モノ言えぬ戦時中の空気とは、このようなものか、とその空気に飲まれて、自分も行動や気持ちが萎縮していく経験をしました。
また、学生の中にも感染者が出たことから、高校は休校になって、とても例年通りの広報ができる状況ではありませんでした。
昨年の卒業遍路も、コロナ禍の影響で3月にはあらゆる行事が中止になって、唯一卒業遍路だけが開催されました。その時は、いろいろ準備をしてきたし、生徒を思いやる学校の先生たちの熱い勧誘もあって、その想いに応えなければ!と勢いで決行しました。
30人集まった参加者からはやってくれて良かったという賞賛の声をたくさんいただきましたが、振り返ると自分はともかく協力してくれた人たちに危ない橋を渡らせてしまったな、という想いも残りました。
年末のクラスター騒ぎのコロナハラスメントを経験した後だと、卒業遍路絡みでコロナ感染者を出すとどういう叩き方をされるか、容易に想像できました。スタッフの中にはIターンの家庭も多かったので、親が感染して子供だけが残されると、家庭崩壊の危険があります。自分がその責任を負えるわけもなく、どう考えてもやらない方が賢い、という気持ちが自分の中では大きくなっていました。
年が明けて、2ヶ月経っても、東京や大阪などの都市部では未だに緊急事態宣言が発令されたままで、観光客もお遍路さんも、島の行事も何も動かない状態で、今年はやらないというのが半ば確定していました。
しかしながら、2月末になると東京以外の緊急事態宣言が解かれ、それまでの空気が緩和して、一転、何かやっても許される雰囲気が出てきました。
そこに、いつも手伝ってくれるスタッフの一人から、「息子が中学卒業するんだけど、卒業遍路やらないの?」と問い合わせがあり、他にも「今年はどうする?」と言う人が増えて、俄にやるべき!という波が押し寄せてくる感じがありました。
コロナ禍の年度、その中で1年間通して最終学年を経験した子供たち、彼らの心境を安易に想像することはできません。
ただ、自分の経験に照らし合わせてみると、根暗な学生生活だったにせよ、いろんな活動を通して、思い出に残る経験を同窓生と共有できたことは財産でした。
だから、そうした糧となる機会を自分たちの力で細やかでも提供できるなら、できる形を模索したい。
結局、何のために続けている行事なのか、という原点に立ち返ったときに、一人でも「行きたい」という子がいるなら、やる以外の選択肢はない。卒業の思い出に遍路があるなんて最高じゃないですか。
2月末に覚悟を決めてからは、忙しかったです。どんな小さな行事でも、独りではできませんし、それなりに費用もかかります。参加者が少ないから、中途半端な内容でいいや、というわけにはいきませんし、コロナ対策も考えねばなりません。
限られた予算の中で、当日のクオリティを下げない部分に特化して、費用負担が大きなバス移動や、腕輪念珠、フォトブックなどのプレゼントは省いて、コース設定と内容を決めました。
例年、小豆島中央高校の合格発表日前日というタイミング(中学生にとって予定が何もない、かつ、島外へ進学する高校生がまだ島を離れていない)で開催日を決めていたので3月17日を開催日にしたところ、いつも手伝ってくれる先達さんや若手僧侶の誰もが既に予定あり、遍路経験のある大人が私を除いて1人だけ、という最低限の布陣。
それなのに、参加費がネックになって人が集まらなかったら嫌だな、という見栄があって、最初の数人に参加費500円でええよ!と軽口を叩いてしまったので、スタッフの大人から参加費をいただいたりしました。手伝ってもらうのにお金をとる。大林に関わるとロクなことがない、と思われても仕方がないところですが、志に集まってくれたメンバーだったので甘えました。
予算がないので、まず諦めなければならない動画による記録は、いつもやってくれているCubic-ttの坪佐さんが、「卒業遍路のためなら」とボランティアでやってくれる意思を示してくれました。終日のロケとその後数日にわたる編集作業、忙しいのは重々わかっていたので、まったくもってあり得ないことですが、それがあるのと無いのとでは、関わる全ての人間にとっての記憶に影響をするので、思いっきり甘えました。
行事を続けていくためには、収支のバランスを考えないと、継続はできません。今までは小豆島町の助成金に頼ってきて、昨年は人間塾の助成金もいただきました。今年に関しては、まったくの独立採算、予算は1/10で、持ち出しを覚悟せざるを得ない状況でした。
しかし、いつも遠方から支援くださる素敵なお遍路さん「和歌山レディース」の皆様が、急遽やることになった卒業遍路に対して即座に噠嚫(たっしん)を送ってくださいました。それに、コロナで継続的な開催はできなかったけれど、普段の遍路行事の参加費から実費を差し引いた余剰のお金を加えて、無事開催に漕ぎ着けました。
映像の御礼はいずれまとめてお返しせねばならないと思っておりますが、小さくやろうと思えば、改善する余地はまだまだあった、という気づきを得られたのはコロナのおかげかもしれません。コロナ禍を経て、不要な常識からどんどん脱却しつつある実社会になぞらえる部分がありました。
苦難の年度を経て、なお続いていく卒業遍路は、時代のニーズに対応し、柔軟に変化し続けるものでありたいと思います。(実行委員長 大林慈空)
チョキチョキ遍路のご案内
歩き遍路が気持ちいいシーズンに突入したので、密にならない小さな遍路を月一のペースでやっていこうと思います。
まずは4/26月曜日。場所は草壁から三都半島の方へ行こう、と考えてます。
5月から2月(11回)まで、第4週か第5週の平日の週替わり開催で、小豆島霊場を1周する予定です。
チョキチョキ遍路
大林慈空が先達をする小さな歩き遍路行事です。チョキチョキの由来は、剪定バサミを持って(担いで)、道のはみ出た枝や雑草や転がってる石やゴミを片付けながら歩く遍路行事です。普段見慣れた道でも歩くといろんな発見があり、自然いっぱいの環境の中でとても気持ちがいいです。チョキチョキが加わると、ただ歩くだけより疲れますが、その分達成感と人から喜ばれて自己承認欲求、自己肯定感をいつも以上に得られます。霊場寺院側の立場からだと素直にありがたいです。遍路装束・金剛杖・輪袈裟は無料貸し出し。お経が書かれた遍路冊子も用意しますので、身一つでご参加ください。
自分のためであり、他人のためでもある、仏教の自利利他の精神を一緒に体現しましょう!
第3回チョキチョキ遍路 概要
開催日時:
集合場所:
行 程:
対 象:
費 用:
持 物:
備 品:
昼 食:
無料貸出:
先 達:
参加申込:
4月26日(月曜日)8:30〜16:45
第21番清見寺駐車場
(21)清見寺〜(19)木下庵〜(22)峯山庵〜(23)本堂〜(24)安養寺〜(25)誓願寺庵〜(27)櫻ノ庵〜(26)阿弥陀寺〜(28)薬師堂〜(29)風穴庵〜(30)正法寺〜(31)誓願寺
老若男女どなたでも 定員10名
2000円(昼食、保険込 ※参加費の3〜4割は2021年度の卒業遍路の資金にさせていただきます)
山歩きできる服装(長ズボン推奨)、履き慣れた靴、菅笠(帽子)、タオル、水筒、雨合羽(雨天時)、筆記用具
剪定鋏、ノコギリ、ゴミ袋、案内板等、遍路道の整備に必要なもの(自分の体力と相談してできる範囲のもの)
お弁当を(雨でなければ屋外の気持ちの良い場所で)食べます。
遍路装束、金剛杖、輪袈裟
大林慈空(小豆島霊場第八番常光寺副住職)
お問い合わせフォームから、お名前、生年月日、電話番号、住所を入力してお申し込みください。
YouTube本格始動!
と、威勢のいいタイトルですが、チェンネルを開設しただけで、実際は全然動画をあげてません(汗)。
でも、構想だけは山ほどあるので、高らかと宣言してこれからやらざるを得ない状況に追い込むためのエントリーです。
YouTubeが流行ってるから、とりあえずやってみた!的に自己完結するためではなく、コロナ禍で全然お遍路さんが来なくなった小豆島八十八ケ所霊場の存続のため、お遍路と出会って人生が充実している自分自身の体験を伝えるために、情報発信の一番有効な手段として今はYouTubeをやらない理由はございません。
将来見返して、これって誰得?なわけわからんことを考えてたんや、と思い返せるように、今の私が考えているコンテンツを以下に列挙しておきます。真面目に考えてはいるんです。でも勘違いもあるでしょう。
- 作業用般若心経3時間
- 作業用不動真言12時間
- 作業用光明真言1万遍
- 作業用シリーズ理趣経とか観音経とか・・・
- 仏壇で一緒に唱える仏前勤行次第
- ほとんど網羅 真言100仏
- 車でめぐる小豆島遍路 もう迷わない!
- 歩いてめぐる小豆島88箇所 札所解説付!
- The First Take 大師宝号
- お大師様とのコラボ動画
- 歩き遍路研修 新入社員と歩いてみた!
- 先達に聞く 遍路の魅力
- 遍路うんちく 巡拝作法
- 遍路うんちく お遍路に最低限必要な装備10選
- 遍路うんちく お遍路に必要な心構え3選
- 遍路うんちく お遍路便利アイテム5選
- 遍路うんちく 代参してもらうといいモノ3選
- 遍路うんちく 朱印と納め札
- 遍路うんちく お遍路でやってはいけない作法
- 遍路うんちく 講組織と拝み屋さん
- 遍路うんちく 衛門三郎伝説
- 遍路うんちく 小豆島名所図絵から妄想する江戸時代の遍路
- 遍路工作 納め札を自作しよう
- 遍路工作 仏様をスケッチしよう
- ライブ配信 朝勤行をご一緒に
- ライブ配信 写経をご一緒に
- ライブ配信 草抜きしながら質問コーナー
- ライブ配信 仏具磨きしながら質問コーナー
とりあえず思いついたことを片っぱしからやっていって、間違ってたら修正して、コトコト動画制作していきます!
頑張ってるな!と思ったら誰かコラボしてください。
当面の目標は、登録者1000人。YouTube見たよ!でお参りしてくれる人10人目指します!
卒業遍路2020やりました。
土庄町地域おこし協力隊2年目の立屋(たてや)です。今回スタッフとして初参加させていただきました。いきなりですが少し私の経歴についてのお話しを。私は東北の山形出身です。大学卒業後上京し、デザイン系業種で勤務後、前職は某アウトドアメーカーで9年間働いていました。
アウトドア業界での経歴を活かし、今後の協力隊の活動において、【お遍路】という面白いコンテンツがアウトドアと融合ができないかと模索していました。歩くという観点から【トレッキング・ハイキング】、走りながら登る【トレイルランニング】など、地域に根差したアウトドアの可能性を探れないだろうかと。ただお遍路超初心者であるため、【お遍路とはなんぞや?】ということと、私自身がお遍路に対して、これからどう対峙していくかを見極める時間にしたいとの思いがあり参加させていただきました。
今回は新型コロナウイルスの影響で、開催の有無が一番の課題になっていました。学校閉鎖から始まるイベントの自粛ムードで自由に遊べないという状況下、学校や教育委員会、親御さんなどに確認を取りつつ、イベント内でも密集しないような配慮や、ウイルス対策をしっかり講じていました。
まずお遍路云々よりも、卒業遍路に参加する子供たちに対するリスクマネジメントに重きを置く姿勢に感動を覚えました。これはアウトドアツアーを行う上で最重要事項であり、参加者の安全を確保できてこそ、イベントを最大限に楽しめる権利を得ることできるから。
コロナ対策だけでなく、41番の仏谷山から40番の保安寺までの下りの急坂でも、ゆっくり歩くことを促すことはもちろん、スタッフが手助けをし、滑らないような補助ができていました。私はイベントの直前からの途中参加だったのですが、これは行程の下見がしっかりできているということ。事前準備の中でも【下見】とは行程の安全性を確認するためにとても大切な事項です。催行中のイレギュラーは往々にしてあります。そのときのエスケープルート(別ルート)の策定をしたり、イレギュラーに対しての様々な対策が重要になります。この時点でリスクマネジメントありきの取り組みをされている卒業遍路実行委員会の方々にただ脱帽でした。
すばらしき卒業遍路!を根底に持ちつつ、私の参加課題の【お遍路とはなんぞや?】について超初心者の私が感じたことを以下に記していきます。
【今回のお遍路行程】36番釈迦堂~37番明王寺~38番光明寺~39番松風庵~35番林庵~42番西ノ瀧~41番仏谷山~40番保安寺
お遍路はただただ長い道を黙って歩くイメージでした。小豆島の八十八か所お遍路は山岳霊場が多いことから、起伏に富み、島ならではの景観を望めるので、とても楽しく歩くことができました。途中【橋を通る際は杖を突かない】ということを教わりました。橋の下で弘法大師が休憩されていたため、杖を突くと音でうるさくて眠ることができなかったからだそうです。お遍路の片鱗に触れることができた嬉しさで、思わず人に伝えたくなるお話でした。
41番の仏谷山では護摩焚きを。その気持ちの良い煙に包まれながら、「過去に囚われず、今を大事に生きること」を説いていただきました。私自身が過去に囚われやすいところがあるので、過去は過去と割り切り、「現状をどう丁寧に生きていくかを考えていこう!」と思えた瞬間でした。ただ歩く、登るだけではなく『人生を見つめ直すことができる!』これがお遍路の醍醐味だろうと思います。
もうひとつの参加課題、お遍路への対峙についてですが、少しでも快適に歩けるようにアウトドア目線での提案・提言ができないだろうかと思っています。
まず服装。山歩きの基本はレイヤリング!暑くなったら脱ぐ。寒くなったら着る。体調を崩さないためにも、体温調整ができるような服装の用意は大切。あと下着は綿ではなく、化繊(ポリエステル系)が望ましいです。そう考えるとこれからはお遍路さんの装備についても検証していかなければ!ですね。
今回みなさんと一緒に歩いて感じたことは、若さゆえの勢い任せになる歩き方はケガに繋がりやすくなるということ。歩幅や下りで滑りにくい歩き方、水分の取り方など知ることで疲れにくくなり、より楽しいお遍路にすることができます。歩きながら伝えることもできますが、予備知識として事前に伝える場を作っていけたらと考えています。
コース整備にも協力していきたいです。自ら整備することで、もっとお遍路を身近な存在と捉えていきたいです。
最後に学生さんと一緒に遠足気分で歩けたこと、素晴らしいスタッフと共に卒業遍路に関われたことに感謝です。ありがとう!(卒業遍路引率スタッフ 立屋香織)
お知らせ 卒業遍路2020の開催について
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、大人数で集会する行事が次々と中止・延期になっております。
3月18日に開催予定の卒業遍路に関しては、屋外での徒歩行事ということを鑑み、その対象には含まれないと考えておりますが、昨今の情勢を踏まえ、中止の可能性もあります。3月2週目に入ってから、その開催の是非を判断したいと思います。
ご理解の程よろしくお願い致します。
卒業遍路実行委員会 大林慈空
卒業遍路2020のご案内
春、卒業シーズンになると鈴の音を鳴らしながら、白装束のお遍路さんが近所のお寺をお参りしている光景を目にします。一体彼らは何者で何をしているのでしょうか?自分達には関係の無い存在。そう思ってしまえばそれまでなのですが、遠方から10時間以上かけて、或いは50年欠かさず、毎年小豆島を巡礼される人たちがいます。
卒業遍路はたった一日の行事ですが、本格的な遍路行をすることで、その理由の一旦に触れ、わたし達が生まれ育った場所を知り、自らの言葉で語れる機会にしたいと思っています。卒業という人生の大きなターニングポイントにおいて、この経験が今後の人生を有意義にしてくれるはず!そう信じて小豆島に根付いていく行事にしたいと想っています。
【日 程】2020年3月18日(水)9:00~17:00
【場 所】小豆島町池田地区の遍路道および札所
【対 象】2020年3月に卒業する中高生 定員50名
【参加費用】1人2,000円(昼食込・保険料込)
【集合場所】1.富丘八幡神社馬場8:30 または 2.小豆島町立図書館前8:30
または 3.明王寺8:45
【解散場所】集合場所で17:30ごろ解散予定
【申込締切】3月13日(金)
【持ちもの】山歩きができる服装と靴、タオル、水筒、雨合羽(雨天時)、
筆記用具、保険証(コピー可) ※遍路備品はこちらで用意します。
【申込方法】学校の先生に申し込み書を提出するか、
お問合せ先の電話またはメールにてお申し込みください。
【問合せ先】卒業遍路実行委員会(担当:大林 090-2386-1933 / info@aruki-henro.com)
【主 催】卒業遍路実行委員会
参加者全員に〈御利益いっぱいのパワーストーン念珠〉と
〈お遍路の様子を撮影した写真アルバム〉をプレゼント!
※万が一発生した事故については特約保険の範囲において対応いたします。
※スケジュールは変更する場合があります。
http://www.aruki-henro.com/2019/05/06/873/
卒業遍路は、たくさんの方々のご協力とご支援によって実施できております。
小豆島遍路に関わる遍路宿、霊場寺院、お遍路さんからさまざまな形で協賛いただいております。
一般財団法人人間塾様には、活動助成金の支援をいただいております。
介護施設の利用者様にも代参協力をいただいております。
第1−3回 小豆島てくてくへんろ案内
前回、2019年6月に予定したものの、台風で開催できなかった誰でも参加できる歩き遍路行事をやります。
渕崎の本覚寺から馬越の大聖寺まで歩き遍路します。途中、長浜の長勝寺で昼食を食べ、笠ヶ瀧で護摩祈祷する予定です。
2019年6月に予定していましたが、台風で順延したため仕切り直して、9月から続きを順に歩きます。
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てくてくへんろとは・・・
遍路とは作法に則り、信仰心をもって、真摯に取り組む修行である!と考えると、遍路はとても敷居の高いものに感じてしまいます。
てくてくへんろは、お遍路に興味をもった人が、どなたでも気軽に始められるように、とても広くて低い入口の遍路行事です。
必要なものは、興味と体力のみ!遍路冊子、遍路備品をお持ちでない方は、こちらで貸出します。
遍路作法は、イチから説明します。札所の縁起や仏教的なアレコレも坊さんが解説します。お経はしっかり唱えます。ショートカットせずに歩き通します。お遍路自体は真摯に取り組みます。
3年前まで行っていた「女子へんろ」の続きのような遍路行事です。
広くて低い入口を確保するために、参加者の女子しばりを辞めました。
老若男女どなたでも参加できます。ただし、12歳未満の方は、保護者の同伴が必要です。
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【日 時】
≪第1回≫ 9月26日(木)本覚寺〜大聖寺
≪第2回≫ 10月30日(水)大聖寺〜恵門ノ滝
≪第3回≫ 11月29日(金)小部〜楠霊庵
【集合場所】
旭屋旅館 8:00集合 17:00解散予定
【参加費】
3000円(昼食、経本、保険付、備品貸出無料)
【準備物】
山歩きできる動きやすい服装、保険証、タオル、お賽銭、水筒、雨合羽(雨天時)
【備 考】
希望者には白衣・金剛杖・輪袈裟を貸出致します。
集合場所と解散場所は同じです。
よほどの荒天でなければ雨天決行します。
納経帳を希望される場合は別途費用が発生します。
【お申込み】
お問合せフォームから
題名を「てくてく遍路参加希望」としていただき、
参加希望回(第1回、第1回と第3回、あるいは1~3回etc)と
名前・住所・電話番号・生年月日
を送って下さい。イベント保険に加入します。
メールの場合はinfo@aruki-henro.comまで。
※ 参加費で、必要経費を抜いた余剰分は、2020年の卒業遍路の資金とさせていただきます。
講演会「教育と遍路」のご案内
講演会を主催することになりました。
その名も「教育と遍路」!
あまり見られないアプローチだと思いますが、密接に絡み合う要素だと思っているので、ストレートなタイトルにしました。
ただ、これだけだと少し固いイメージなので「 〜信仰だけじゃない小豆島遍路の魅力〜」と副題もつけました。
内容
内容について、
卒業遍路等、小豆島の学生向け遍路のことを話すわけではなく、一般財団法人 人間塾が毎年開催している『小豆島遍路研修』をテーマに、その塾長である仲野先生にその経験談やきっかけ、継続している理由、感想などを中心にお話しをしてもらいます。
人間塾の『小豆島遍路研修』は、これまで9年の実績があり、参加者は人間塾の塾生=大学生が中心です。
学生達は、もともと遍路に馴染みがあるわけではなく、ミッション系の学生や、芸大生、医大生など、一見して信仰とは距離があるところから、人間の成長という目的で歩き遍路を行い、成果を積み上げてきました。
教育目的の遍路としては先駆者ですので、卒業遍路が見倣うべき要素が多分にあり、その実績にはものすごい説得力を感じました。
卒業遍路の活動を5年継続するうちに、最初は「遍路=宗教」と盲目的に思っていた教育者の方も、遍路は文化であり、郷土の歴史を学ぶ一つのアプローチと考える人が少しずつ増えたような実感がありました。
学校の先生たちの対応がどんどん優しくなって、応援してくれる人も増え、遍路≠宗教が市民権を得だした、と勝手に喜んでいたのです。
しかし、フタを開けてみたら今年の卒業遍路の参加者は一桁・・・
振り出しどころか、過去最小を更新して、そう思ってくれている人もいるけれど、人にすすめるほどの自信にまでは至らないのかな、と分析しています。
対象者
なので対象者は、
人を教育・指導する立場にいる教育関係者、経営者、指導者。
遍路にはいろんな可能性があるということを広報していただく観光関係者。
若い人が集まらんなぁ・・・と嘆く遍路団体長および先達の方々。
遍路や霊場の存在は認識しているけれど、自分には関係ないと思っている人。
もちろん霊場関係者にも。
小豆島に限らず、四国遍路にも共通する内容だと思うので、島外の方でも興味があれば来て欲しいですね。
夜開催ということで、宿泊が必須になりますが、開催場所の国民宿舎小豆島はその名の通り宿泊施設ですのでご安心ください。
講演者
講演をしていただく人間塾の仲野先生についてもう少し詳しく紹介しますと、
人間塾は、ここでも案内しているとおり、卒業遍路の活動資金を助成していただいている団体になります。
私は第2番札所の碁石山という山岳霊場に常駐しておりますので、人間塾の学生たちが小豆島を歩き遍路していることは、もう何年も前から知っていました。
ですが、GWの参拝者が多い時季にやって来るので、どういう人がどんな目的で、というところまで詳しく聞く機会はありませんでした。
気になっていたところに、卒業遍路を手伝ってくれている一人が、『小豆島遍路研修』を世話していることを知り、その方から仲野塾長を紹介していただき、私は人間塾の活動に深く感銘を受け、塾長も卒業遍路の趣旨に賛同いただけ、お互い意気投合したという邂逅がありました。
仲野先生の話の中で、真言宗の家に生まれたけれど、キリスト教系の大学に進学し、心理学という西洋的なアプローチを勉強されたにもかかわらず、遍路を続けているヘンテコな経歴にとても魅力を感じました。
その話には奥行きがあって、誰にとっても共感できる部分があり、坊さんが語る思想一辺倒のフワッとした法話ではない説得力も感じました。
常々、お遍路は”信仰ありき”ではないと思っていた私にとって、教育という目的から遍路を語っていただくにはこれ以上ない方だと思っています。
本当に面白い話が聞けると思いますよ。楽しみです!
「教育と遍路」
- 信仰だけじゃない小豆島遍路の魅力 –
開催日:9月10日(水)
時 間:19:00〜21:00
対 象:どなたでも無料
場 所:国民宿舎小豆島ふるさと荘交流センター
主 催:卒業遍路実行委員会
後 援:香川県教育員会、小豆島町教育員会、土庄町教育委員会
協 力:一般財団法人人間塾、NPO法人トティエ
問い合わせ・申込については、以下にお願い致します。
電 話:(0879)82−1199
メール:info@aruki-henro.com
卒業遍路の活動助成金をいただきました
一般財団法人人間塾(以下 人間塾)の活動助成金をいただくことになりました。
人間塾は、東京に本拠地を置く一般財団法人ですが、毎年GWを利用して、多くの塾生が小豆島を歩き遍路しています。
人間塾自体は、宗教組織ではないので、あくまで人間教育の一環として小豆島遍路を9年前から継続しています。塾長の仲野先生にそのきっかけや研修の成果を聞くと、人間教育としての小豆島遍路には、大いなる可能性があることを確信させられました。
わたしたちが卒業遍路で求める方向性とも合致し、その趣旨にも賛同していただけたので、活動助成金という形でサポートしていただけることになりました。
どんな活動も資金がなければ継続できません。
卒業遍路がスタートした4年間は、小豆島町の助成金をいただいており、今年からその助成期間が満了となったタイミングなので、非常に有り難いです。
卒業遍路は、参加費2000円をもらっていますが、バス代と食費を払えば、ほとんど残らないので、それ以外の備品や会場費・冊子印刷費・広告費・映像制作・フォトブック・パワーストーン念珠などの費用は、個人の皆さまからの寄付や助成金で賄っております。
今回いただいた助成金によって、活動を安定的に継続させていきます。この場をかりて、改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。
人間塾の活動については、公式ウェブサイトをご覧下さい。
大林慈空拝
卒業遍路2019を行いました
平成31年3月19日火曜日に、卒業遍路を開催しました。
今回のコースは、小豆島町の内海地区(苗羽〜坂手〜古江〜堀越〜田浦)が舞台です。
8番常光寺をスタート、7番向庵を打った後、山道を上って2番碁石山へ、1番洞雲山、3番奥の院隼山と山岳霊場をめぐり、坂手港近くの3番観音寺で昼食。午後から二十四の瞳で有名な田浦半島の4番古江庵、5番堀越庵と寄って、岬の分教所がある6番田ノ浦庵がゴールです。二つの山越えがある総延長11kmの行程です。
当日は天気予報通りの激しい雨で、卒業遍路史上でも過去最高の悪天候でした。
お遍路は少々の雨でも、構わずやるものですが、遍路に馴染みのない卒業生には少々酷だなぁと思ったものの、キャンセルする者はおらず、元気に始まりました。
今回の参加者は8名。これまではコンスタントに20名近くの参加者がありましたが、今年はどういうわけか中学生が1名だけになってしまいました。しかも全員女子!女子遍路です。
集合場所の8番常光寺で最初のお勤め。
お経の次第は
先)開経偈
次)懺悔文
次)三帰
次)三境
次)十善戒
次)発菩提心真言
次)三昧耶戒真言
次)般若心経
次)本尊真言
次)光明真言
次)大師宝号
次)廻向文
次)祈願
とお遍路さんが唱えるお経としては、経本どおりのフルコースで読経しました。
常光寺の後は、徒歩3分くらいのところにある7番向庵(むかいあん)。
今回の参加者は、お寺の近所に住んでいる子が数名おり、その内2名は檀家の子でしたので、見知った場所のはずですが、遍路をしてお経を唱えるのは初めてだったと思います。
向庵からは、山道に入って、2番碁石山へ向かいます。
距離にすると2㎞ほどなので、すぐ着きそうなものですが、本格的な山道で傾斜もけっこうキツく、雨で足元も滑りやすくなっているので、修行の雰囲気が出てきました。
道すがらにお地蔵様がたくさん並んでいて、代参で託されたお地蔵様の前掛けを掛けながら登りました。
代参には、前掛けの他、写経・写仏・塗り絵・蓮の華の折り紙を預かりました。参加者の数よりも、圧倒的に多く渡されたので、今回廻った9札所は、代参物で溢れかえりました。
遍路道と舗装された車道が入り混じった参道を登って、ようやく碁石山に到着。道中はずっと雨で、ようやく一心地つきました。
たまたま別の歩き遍路の団体も一緒になって、お接待をいただきました。ありがたや。
本堂では護摩祈祷を行いました。
お願いごとは学生らしく、学業成就と良縁成就ばかり。女子なのでお互い空気を読んだ可能性もあり。良い出会いがありますように。
本堂を出た後は、行場にも足を運んで、浪切不動明王の石仏の後ろをぐるっと回りました。雨で見通しは悪かったけど、霧の中の体験は特別な思い出になったことでしょう。
1番洞雲山は、碁石山から300mほどの距離。徒歩5分で到着します。
碁石山とは違った佇まいの山岳霊場で、大きな岩の亀裂に入っていく感じが、他のどの札所とも似ていません。
ここが1番になったのも、そういう荘厳さが格別だったからだと思います。
洞雲山の後は、500mほど同じ高さの道を歩いて3番奥の院隼山(はやぶささん)へ。
途中の展望台から見える景色は絶景でした。
雨もすこし小降りになってきて、視界もクリアになってきました。夕方には止む予報だったので、天候の影響で、気分も少しずつ上向きになります。
隼山からは、海抜0メートル付近にある3番観音寺へ下山します。碁石山の登りのように、今度は急な下り道。ただ舗装されたコンクリートの道だったので、雨の日は滑りにくくて助かりました。
観音寺は坂手港のすぐ側で、坂手港に着いた関西方面のお遍路さんが最初にお参りするお寺です。
しっかりお勤めした後は、お寺で昼食をいただきました。
卒業遍路の昼食は、毎年定番で豚丼。
小豆島で放牧豚を育てている鈴木さんのところの豚を、島の佃煮屋さん小豆島食品で煮込んで、寒暖差がある中山の棚田で育てた米でいただく逸品です。毎年のことながら、本当に美味しい鉄板メニューです。
昼食後は、観音寺の本堂で折り紙をしました。
代参でいただいた蓮の華の折り紙です。
作り方はそんなに難しくないものの、少しコツがいるので、みんなで好きな色紙を選び、紙を切って、お願い事を書いて、折って、束ねて、また折って完成しました。
卒業遍路ではお遍路以外にも、学校教育では教わらない体験や学びの機会を設けるようにしていますが、今年やった折り紙は、女子ばかりの参加者だからやりましたね。男子が混ざっていると、別の何かにしてました。
午後からは、観音寺から、坂手の海沿いを歩いて、田浦半島へ向かいました。山から海へ景色はガラリと変わって、海の臭いを感じながら、舗装された道を4番古江庵まで歩きました。
古江庵は、海のすぐ側にある札所で、砂浜と松の木が趣を感じる風光明媚な札所です。近年高潮の被害を受けて、コンクリの防波堤ができてしまったので、昔を知る人には味気ない感じがしてしまいます。しかし、凛々しい西国33観音の石仏がお堂を取り囲むように並んでいて、特徴的な風情があります。
札所に着くと、地元の人がもの珍しさゆえに、2〜3人集まってきて、一緒にお勤めしてくれました。
古江庵から5番堀越庵へは、海岸線の車道をひたすらに歩きました。内海湾を挟んで、対岸に寒霞渓が見え、後ろには今歩いてきたばかりの洞雲山と碁石山がそびえて見えました。
思えば、よくあんな高いところまで登ったものだ、つい数時間前のことが懐かしく思えます。
堀越庵のある堀越集落は、昔ながらの路地道が多く、昔の小豆島の村はこんな感じだったのだろうな、と想像させる古き良き雰囲気を残しています。
二十四の瞳の作者である壷井栄の夫繁治ゆかりの地でもあり、今でも堀越庵のすぐ横には石碑が残っています。
堀越庵から6番田ノ浦庵へは、車で行くと海岸線の車道を行きますが、歩きでしかいけない峠道があり、傾斜が急で馬が立ったというところから”馬立峠”と名付けられた難所になります。
この頃には雨は止んでいましたが、昼になって疲れも眠気もでてくる時間なのも相俟って、見上げるほどの登りは堪えました。
先達の森下さんの案で、峠を越える時に唱える歌を輪唱しました。
「なーむだーいし へんじょーこんごー♪」
「おーだいしさーまに こーみょーしんごん♪」
この歌詞を、先頭から順に、頭人を入れ替えて歌っていきます。単純なれど、慣れない言葉にしどろもどろの学生たち。
それでも声を張って、自然の中をおらび上がる(小豆島の方言で「おらぶ=さけぶ」)と、あっという間に山頂に着きました。
黙々と登るより、引っ張られる感じがあって、高野山や富士山に登る時も「六根清浄〜 ろっこんしょーじょー♪」ってやりますね。
峠道を下りるころには、太陽が見えて、木漏れ日が差す竹林の中を歩くのは気持ちよかった。雨で花粉や黄砂が落ちて、清々しい空気の中、6番田ノ浦庵を目指しました。
ちなみにこの道は、二十四の瞳が舞台の昭和初期、岬の分教所に通っていた小学生たちが通学に歩いていた道です。昔の人は体力がありますね。
予定より少し遅れて田ノ浦庵に到着しました。
田ノ浦庵は、昨年補修されて、建物が綺麗になっていました。最後のお勤めは、みんなで大きな声が出て、読経も揃っていました。最初は手探りだった参加者も、一日かけて9札所参るとそれなりのお遍路さんになっています。
雨の中で始まった卒業遍路2019でしたが、終わってみれば美しい夕陽が拝め、全員が事故なく、怪我なく、笑顔で終われた素晴らしい一日になりました。